こども園の取り組み｜石巻ひがしこども園・石巻たからこども園

子どもは外が大好きです。草木や風、水や土、鳥の鳴き声、自然の中では目や耳や肌が気持ちよく刺激されます。私たちの園には一年中思いっきり外遊びができる環境があります。子どもは山や海、沢等で遊ぶ時、心も体も解放され顔を輝かせます。自然は常に変化と多様性に富み、探求心を引き出します。そんな環境を大人が守り子どもに与えていくことが、子どもたちの健やかな成長にも繋がるのだと思います。

水は赤ちゃんの小さな手でも触れると形を変えてくれます。
いつまでもいつまでも触っています。
こうした水の刺激が赤ちゃんの脳に伝わります。
触覚は他の感覚や脳が育つ土台になるもの。
「気持ちいい」という感覚は意欲の源となります。
やがてダイナミックに水の中で遊び、水と一体になって心地よさを全身で味わいます。

子どもは「泥んこ遊び」が大好きです。
土に水を混ぜてお団子などご馳走をつくったり、仲間と力を合わせて川や池や大きな山を作ったり、泥んこ遊びは無限に形を変えます。
与えられる物、決まった遊びと違い子どもたちは毎日毎日、想像力を膨らませて全身を使って遊びます。

山や野原には四季折々の変化があり、新たな出会いがあります。
野山のでこぼこ道や坂をよじ登ったり、滑ったりして楽しみながら、バランスよく体を使えるようになってきます。
さらに茂みに入っていくと「何があるんだろう」とワクワクします。
自然の中では五感も心も手も足も総動員して夢中になって遊びます。

野山に出かけると、いろいろな動植物に出会います。
花、木の実、虫や鳥。
カエルやザリガニを両手で捕まえた子どもは得意げに満面の笑顔。
花の香、小動物の感触、鳥の鳴き声、風の爽やかさ、自然の中では絶え間なく五感が刺激され脳が活性します。

私たちの園では幼い頃から野山を駆け回り自然を求めて出かけていきます。仲間と挑戦した経験は子どもの達成感と自信、自己肯定感を育みます。そして感動は、子どもたちが何度も絵にかき合うほど忘れ難い体験になります。

0歳の世界

ヒトから“人間”へ

一生のうちで一番成長が著しい0歳児。周りの大人からの優しいまなざしや語りかけの中で五感を通して心地よい刺激を受けながら育っていきます。赤ちゃんの発達を追いながら私たちの園で大切にしていることを紹介します。

出産まで

お母さんのお腹の中に命が宿った時から子育ては始まっています。お母さん自身の体と心の健康はとても大切です。
早寝早起きを心がけ、バランスのとれた食事、適度な運動、十分な睡眠を取りながら赤ちゃんとの出会いの日を待ちます。

前期：首がすわるまで

生まれたばかりの赤ちゃんは、まだ昼夜の区別がつきません。音や光、周りの環境が刺激となり、だんだんと夜は眠り、昼間は活動するようになります。赤ちゃんは泣くことで“お腹がすいた"おむつが濡れた”と「不快」な状態を身近な大人に訴えます。それを受け止め「快」の状態にしてもらうことの繰り返しがコミュニケーションの土台となり、愛着の形成にもつながります。

授乳は空腹を満たすためだけではなく、お母さんと触れ合い安心できる時間です。優しく抱いて目と目を合わせたり、声をかけたりしながら、ゆったりとした気持ちで赤ちゃんとの時間を楽しみます。

生活リズムの土台をつくる大切な時期です。太陽の光を感じて目覚め、昼間は自然の光の中で生活し、夜は静かな環境で寝かせてあげます。

中期：自分でおすわりするまで

周りの大人から十分に声をかけてもらった赤ちゃんは次第に自分の周りの事に気づいて興味を持ち、自外の世界に働きかけるようになります。

人は食べるもので成長していきます。離乳食には素材本来の味があり少しづつ覚えていきます。好き嫌いにつながる過度な味付けをしないように安心安全な食材を選んでいます。

お座りができる頃には、手で持って食べられる物を取り入れて「自分で食べたい」という気持ちを大切にしています。

後期：ハイハイからつかまり立ち、
つたい歩きからはじめの一歩へ

この時期に大事なのは、「四つ這い」です。遊びの中でハイハイをいっぱいすることで腕や足の力がつき、自らお座りをするようになります。やがて自分で立ち上がるようになり、はじめの一歩を踏み出します。

赤ちゃんは水で遊ぶことが大好きです。ハイハイができるようになると水場に出かけていき水の感触を楽しみます。

歌をうたったり、“いないいないばあ”をするなど優しく声をかけましょう。赤ちゃんの笑顔は幸せな気持ちになります。

公益財団法人日本小児科医会からの提言

テレビやスマートフォン、タブレット等の強い刺激は子どもの体や心の発達の妨げになります。
授乳や睡眠時、日頃からできるだけ遠ざけましょう。

小学校まで育てたい10の事

（１）健康な心と体

園庭で大人用のスコップを使い、完成形を想像しながら穴堀り、土を使ってトンネルや山作り丸太を使い、橋に見立てて、友だちと協力しながら遊び込む。
６、７歳頃に自律神経が確立するため、幼児期には身体と筋肉を動かして脳に刺激を与えて発達を促す。そのため、毎日園内でリズム運動（ピアノの音に合わせて動物等の姿を模した運動をする）を行い、普段使わない筋肉を動かして体の緊張をほぐし、しなやかな身体を作り、気持ちを育て脳を育む。
生活リズムが整ってくると、見通しを持って自分から活動に向かっていく。

（２）自立心

0歳児から、それぞれの発達に応じた『自分で』という気持ちを受け止め、子どもが『自分でできた』という経験を積み重ねることで、意欲につなげていく。子どもが自分で考え、見通しを持てるよう大人が見守り、励まし、必要以上に介助しないことで、与えられた課題に向かう気持ちを育む。

（３）協同性

特に３・４歳児時代の子どもが話し始めたら、大人はどんなに忙しくても体と目線を落とし話を聞くことで、５・６歳時代に子ども自身が相手の話を聞けるようになっていく。友だち同士のトラブルも自分たちで解決していき、協力して製作物を作れるようになる。

（４）道徳性・規範意識の芽生え

子どもは真似る（特に1歳児時代からの模倣）ことから学ぶ。周囲の大人が子どもの模倣対象となることを意識して生活することで子どもは善悪を覚えていく。また、大人がきれいな言葉使いを意識し、正しい日本語を使う（方言は可）事で子どもの手本となる。

（５）社会生活との関わり

普段の生活の中で布団を敷いたり、ご飯の準備など、大人の手伝いをして認められることで自尊心が育つ。また園外活動や行事等で地域の方々と関わりを持つ、毎月の他園との年長交流年４回の他園、花山・松島青少年自然の家等に２泊３日宿泊して行う合宿を通して社会の一員としての意識を育む。

（６）思考力の芽生え

『（２）自立心』のように大人の関わり（見守り）による心の安定の中で『自分で考えてできる』を増やしていく中で０・１歳児時代では存分に水遊びを楽しみ、２・３歳児時代では土、泥遊びをやりきり、４・5歳児時代になると自分たちで遊びを考え、仲間と関わることが楽しくなり困難な課題も仲間と一緒に乗り越えようとする気持ちと考えが芽生える。

（７）自然との関わり・生命尊重

日頃から近くの田んぼや園バスで牧山、旭山、井内真野地区の沢、女川清水地区の沢、渡波地区長浜、登米市の平等沼、長沼、伊豆沼等に出掛け、春夏秋冬を通して、存分に自然を体験する中で虫・魚・蟹・エビ・カエル・カナヘビ等の小動物と親しむ。また飼育し観察することで生き物への興味、関心を深める。年長は大崎市岩出山の有備館を史跡訪問し、餌やりをしながら鯉を観察する。後日、市場で購入した鯉をプールに放ち、実際に触れてみる。その後、職員が園内で鯉を捌き、その場で鯉の唐揚げを作る。子どもたちはその姿を観察し、出来た唐揚げを頂く。子どもたちは様々な思いを鯉に寄せ、その中で生命を頂くことの大切さを学ぶ機会を作る。その他、園内外に畑を作り、きゅうり・なす・トマト・じゃがいも・さつまいも・大根等を苗から育てる。草取りや日課の水やり等、自分たちで手入れをし、収穫して食べる。
年長の卒園期には東松島市野蒜地区にある八丸牧場で日本固有馬、サラブレッド等に餌やり存分にふれあい、乗馬をしたり、仙台市八木山動物園でグループごとにパンフレットを見ながら行き先を友だちと話し合い、園内を巡る。

（８）数量や図形、標識や文字などへの関心・感覚

園内外の大人とのやり取りの中で、子どもは標識や時計の見方、物の数などに興味を持ち、交通ルールや時間を意識するようになる。大人が教え込むのではなく、生活の一環として伝えていくことを大切にし、子どもはこれらのことから文字、数字の概念を学ぶ。
絵本の読み聞かせの機会を多く持ち、物語を楽しむ、大人との言葉のやり取りを楽しむことを通して、文字への興味、関心につなげていく。

（９）言葉による伝え合い

家庭に協力してもらい、テレビやスマホ、タブレットを遠ざけた（できれば禁止）生活や寝る前に絵本を1～２冊読んでもらう習慣をつけている。園では子どもの身になる（感性を育てるような）絵本を0歳から年長までの期間を通して毎日4～7冊読み、6年間を通して1000～1500冊読んでいる。また、プロの吹奏楽、演劇、人形劇、獅子舞、伝統芸能等に触れる経験をする。多くの物語や文化に触れることで感性を育むとともに、たくさんの言葉を獲得していく。
子どもたちの前では、大人は方言も交え、きれいな日本語を使うことを心がけ、スラング風の言葉（今流行りの言葉）を使わないよう心掛けている。意識している。また、大人が子どもに対して口うるさくならないことを徹底し、過保護、過干渉にならないよう配慮する。そうすることで、子どもたちの“聴く力”が育ち、話を理解できるようになり、表現や言葉の広がりを感じる。

（１０）豊かな感性と表現

『（１）健康な心と体』『（５）社会生活との関わり』『（７）自然との関わり・生命尊重』『（９）言葉による伝え合い』の関わりの中で、心に残った絵本の1コマや日常で嬉しかったことの感動体験で得たあふれる思いを絵に描き、表現する。描いた後に大人や友だちに伝えたくて話すようになる。また、子どもに画材を与え、夏祭りに飾る提灯を作り、１節１節に全て違う絵を描き、絵の具を使って色を塗る。年長後半期には和紙に絵を描き、絵の具で色を塗り、表現する。１枚１枚を集中して仕上げ、卒園まで5～6枚の水彩画を完成させる。

※当園では保護者の子育てを援助するため、０歳クラスから年長までの全家庭を対象に年３回クラス懇談会（18時～19時30分。内容により時間は前後する）を行う。時には講師を呼んで講演会を行い保護者の希望で半日・１日保育参加及び個別相談を行っている。内容は生活リズムの大切さ、テレビやスマホ、タブレット等、メディアが及ぼす弊害、子どもとの関わり方（過保護、過干渉の弊害、早期教育の弊害）、月齢、年齢の育ちを理解してもらう等、子どもは大人が小さくなった者ではなく未発達の状態であり、今、成長していることを知ってもらう。また、子どもにも人権があり、大人の着せ替え人形ではなく、大人の言う事を聞くための存在でもない。大人の生活に子どもを巻き込むのではなく、子どもの世界を大切にすること、子どもを中心とした生活が肝要であるということを伝えている。